
ひとしずくの血液が、世界の医療をつなぐ。
ひとしずくの血液から、社会のインフラへ。
当社は、QBS(Quick Blood Separation:微量血液分離)、AuNP-SPR(Au-Nano particle SPR:金ナノ粒子標識表面プラズモン共鳴発色技術)の二つのモジュールを駆使することで、
医療や公衆衛生の検査をラボの中から、一次医療・公衆衛生インフラへと拡張する診断プラットフォームを提供します。
Ploof 2つのエンジンであらゆる検査分野へ展開できる、日本発の診断インフラ企業で
指先血QBS・AuNP SPRエンジンを組み合わせることで、下記2つの事業領域へ展開しています。
-
一次医療の現場で利用されるPOCT *プラットフォーム
―体外診断用医薬品Quanpass ®︎シリーズ -
-
水環境中の病原体遺伝子を解析する公衆衛生・水環境分析プラットフォーム
―非PCR多項目同時核酸分析システム NEXGENA™
*POCT:迅速型臨床検査キット
M1:QBS(指先血から血清検体を生成)
M2:AuSPRエンジン(POCT・多様な標的の検出、PCR不要・多項目化・自動化)を用途に応じて組み合わせ、
「あらゆる場所で適応できる検査システム」 を実現します。
このプラットフォームは、一次医療(薬局・在宅・クリニック)に加え、救急・遠隔地医療・公衆衛生モニタリング、災害現場など、これまで十分な検査アクセスが届かなかった現場で機能するよう設計されています。日本国内では薬局ネットワークを中心に累計10万件超のワークフロー運用実績、感染症等プライマリケアにおける実績は累計50万件です。
また、NEXGENATMは、経済産業省DX推進事業を経て、現在は、グローバルサウス未来共創支援事業にて南アジアにおける社会実証を進行中です。

さらに、当社はPOCTを単発の「検査」で終わらせず、PHR × AIによるデータ基盤へ発展させる構想を推進しています。
「取得(POCT)→標準化(STD)→連結(PHR)→学習(AI)」という一連の流れを現場レベルで実装し、個人・地域・社会のヘルスデータを、公衆衛生分野における施策立案に活用できるエコシステムへの統合を目指しています。
Technology
本技術は、医療検査を「ラボの中」だけのものから、「社会の中」で常時活用できるインフラへと拡張するために設計されています。
最大の特徴は、免疫、生化学、遺伝子核酸といった本来異なる検出体系を、すべて「色相変化」という共通フォーマットで読み出せることです。
これにより、1台のデバイスに対してカートリッジを交換するだけで、新しい検査項目やアッセイを次々と追加できるプラットフォームアーキテクチャが成立します。
QBS・AuNPの2つのモジュールに最適化されたシステムとを適宜組み合わせることで、検査が必要とされる場所ごとに最適な構成を選びつつも、同じ検出原理・同じデバイスファミリーの範囲で事業をスケールさせることが可能です。
薬局・在宅医療・救急・一次医療・公衆衛生・災害対応など、設備や人材が限られた環境でも、当社のモジュール型POCTは、従来検査室レベルでしか実現できなかった前処理・検出・解析をコンパクトに統合、異なる分析手法になることで生じる装置の複雑化を回避し、現場条件に合わせて柔軟に組み替え可能なモジュール型のアーキテクチャーです。
-
M1:QBS(Quick Blood Separation:微量全血の分離精製、特許技術)
指先血一滴から、院内検査で用いる血清相当のサンプルをその場で生成する前処理モジュール。大規模な遠心機や設備がなくても、薬局や小規模クリニックで再現性の高い検体前処理を可能にし、既存臨床試薬をそのままPOCT環境へ展開する互換性を提供します。 -
M2:AuNP-SPRエンジン
(Gold-Nano Particle Surface Plasmon Resonance spectrophotometry:特許技術)
金ナノ粒子の表面プラズモン共鳴を利用し、免疫・生化学・遺伝子核酸といった本来異なる検出体系を、“共通の「色相変化アッセイ」として読み出せるようにする”検出モジュールです。これにより、1台のデバイスに対して、試薬カートリッジの設計を変えるだけで多様な検査項目を追加していくことが可能になります。
この2つのモジュールを組み合わせることで、
- 現場医療・リテール医療向けの “POCTプラットフォーム Quanpass®︎”
- 公衆衛生・水インフラ向けの “NEXGENA™システム”
といった、“異なるアプリケーションを同一の技術アーキテクチャの延長線上で構築できる”点が本技術プラットフォームの特徴です。
Module
M1|QBS(Quick Blood Separation:微量全血の分離精製、特許技術)
QBSは、指先から採取した数十µLの微量血液から、院内検査で用いる血清相当のサンプルをその場で生成する前処理技術です。
-
遠心分離機などの大型装置を必要とせず、薬局・プライマリケア・在宅医療といった非ラボ環境でも臨床検査グレードの前処理を実現
-
既に標準化されている検査試薬系を、シームレスにPOCT試薬としてカートリッジを再構成し、迅速に拡張展開が可能
-
1テストあたりのコスト圧縮とワークフロー簡略化の両立により、POCTにおける「1 USDの壁」を突破するプラットフォームです。
QBSのワークフロー方式をアレンジするだけで、既存の診断薬の基本原理を維持しながら、例えば“自動分析試薬をPOCTカートリッジへ”という拡張展開が可能です。
特許庁長官賞(発明協会)、ものづくり日本大賞優秀賞 受賞

M2|AuNP-SPR(Gold-Nano Particle Surface Plasmon Resonance spectrophotometry:特許技術)
AuNP-SPRは、金ナノ粒子の表面プラズモン共鳴現象を利用したCellspect独自の検出技術です。
従来、
-
免疫アッセイ(抗原・抗体)→濁度を検出
-
生化学アッセイ(化学発色反応)→可視紫外発色を検出
-
核酸アッセイ(PCR・増幅系)→PCR反応による蛍光光度検出
はそれぞれ別々の検出原理・光学系・装置構成が必要であり、
「検査項目が増えるほど装置も増える/複雑になる」構造的な制約がありました。
AuNP-SPRの本質的な価値は、多項目パネルそのものではなく、これら異なるアッセイをすべて「色相変化」という単一の読み出し形式に統合できる点にあります。
本法は特に、免疫反応、核酸ハイブリダイゼーション反応のように色相検出系に持ち込めない検査項目に対して、金ナノ粒子の状態変化による色相検出方式に統一させることができます。
その結果、
-
光学系・検出ロジックは免疫・生化学・遺伝子核酸検査においても1種類の色相検出モジュールに集約
-
検査項目を増やしたいときは、Paletteなどの試薬カートリッジ側の設計変更だけで対応
-
免疫・生化学・核酸を問わず、同じデバイスファミリー上で拡張し続けられる
という「1デバイス × 全カートリッジ」型の拡張性が生まれます。
多項目同時アッセイ(パネル)も必要に応じて構成できますが、それは結果として可能になる一機能に過ぎず、事業としての本質的なアドバンテージは、「異なる検査体系を単一原理に統合し、装置を増やさず項目を増やせること」にあります。

System|Molecular Analytics Engine(NEXGENA™ 公衆衛生プラットフォームに実装)
NEXGENA™は、非PCRで上下水・排水・環境サンプル中の病原体遺伝子を解析する公衆衛生プラットフォームです。
公衆衛生や水・衛生インフラの現場では、複数の病原体や指標を継続的にモニタリングする必要があります。NEXGENA™では、AuNP-SPRと共通の色相検出原理をベースに設計された核酸アッセイカートリッジを用いることで、
-
ターゲットや監視項目の組み替えに柔軟に対応できること
-
新たな病原体や耐性菌などのニーズが生じても、カートリッジ設計の変更で追随しやすいこと
-
同じ項目数とした際にPCR法と比較してデバイスコストは3割以下を実現可能
が大きな特長です。
DX化による多項目同時測定は、公衆衛生用途で求められるケースに応じて、柔軟に構成することができます。
PCRを用いない構成のため、インフラ途上国を含む幅広い地域で、迅速かつ低コストに公衆衛生モニタリングを導入可能です。
南アジアにおける社会実証を足掛かりに、今後は水・衛生インフラの統合監視プラットフォームとして展開を拡大していきます。
これらのプラットフォームを基盤に、当社はPOCTラインナップを100項目規模まで拡張可能な診断エコシステムの構築を
目指しています。

Evidence(知財・認可・実装)
Regulatory / Quality

当社の研究開発および製造販売は、厚生労働省QMS に基づき、
開発から量産まで一貫した品質保証体制のもとで行われています。
-
体外診断用医薬品 製造販売業・製造業許可
-
登録衛生検査所(BSL2+)の自社運営
-
研究開発・スケールアップ・品質保証・臨床性能評価までを社内で完結できるインフラを保有
これにより、技術シーズの発見から社会実装までを高いトレーサビリティで繋ぐことが可能です。
Public Projects(国際実証)

南アジア地域では、NEXGENA™ / PREMOSを中核とした公衆衛生・水インフラ向けの社会実証を、
経済産業省DX推進事業を経てグローバルサウス未来共創事業プログラムにおいて推進中です。
-
スリランカを起点とした排水・環境サンプル中の病原体モニタリング
-
小規模実証 → F/S → ODA・多国間機関プログラムへの展開を視野に入れたステップ設計
-
将来的には中東・ラテンアメリカなど、水・衛生インフラ需要の高い地域への水平展開を計画
これらのプロジェクトを通じて、Cellspectは公衆衛生インフラ企業としてのポジションを確立しつつあります。
Deployments(運用)

国内では、全国の薬局・ドラッグストアチェーンの検体測定室等を中心に、ウエルネスやオーラルヘルスに関する当社POCTキット、並び健康チェックワークフローが約450店舗で導入されており、2019年からの運用で累計10万件超のご愛顧をいただいております。
また、感染症POCT試薬については、パンデミック時に厚生労働省の公式供給ルートを通じて約50万テスト以上を全国に供給しており、リテール医療および公衆衛生の現場において大量供給に耐えうるプラットフォームであることが実証されています。
今後は、国内外の薬局チェーンネットワークおよび国際的な公衆衛生インフラとの連携を通じて、導入拠点と検査件数の拡大を図っていきます。
Deployments(運用)
技術で評価され、社会実装で選ばれるプラットフォームへ。
当社は以下の外部評価を受けています。

日本ものづくり大賞・優秀賞(2023)
QBS技術を活用したPOCTによる現場適合性・量産性が評価され、PHR実装モデルとして高く評価されました。

イノベーションネットワークアワード2023 経済産業大臣賞(2023, TOLIC幹事企業として)
全国の研究機関・産学・地域連携を通じた社会実装能力が評価され、当社が幹事としてリーディングしている東北ライフサイエンス機器クラスターが経済産業大臣賞を受賞。ディープ・テックや研究成果を社会実装する実行力が評価されました。

特許庁長官賞(2021,地方発明協会)
QBS / POCTの実装力、および技術の独自性と社会的インパクトが評価されました。
これらの受賞実績は、Cellspectの技術が単なる研究段階にとどまらず、量産性・国際展開性を備えたプラットフォームとして評価をい頂いております。
