Vol.4  「新型コロナ変異株って危険なの?」

2021年2月5日 最終更新 Cellspect Co., Ltd

 わずか1年ほどで、新型コロナウイルスは世界で1億人以上に感染し、200万人以上の命を奪いました。この流行が沈静化する前に、最近いくつかのウイルス変異株が出現し、多くの地域でパニックに陥りました。

 感染が拡大するにつれ、世界中の多くの研究グループがウイルス株の遺伝子配列を決定し、国際的な共同作業でGISAID(Global Initiative on Sharing All Influenza Data)データベースにアップロードし、新型コロナウイルス遺伝子配列をまとめています。

 これによって、パンデミックの過程で出現した新しい変異株の追跡調査がなされています。

 今号ではウイルスの変異について解説します。 “→”部分はやや専門的な記載となりますので、読み飛ばしてください。

 

変異とはすべてのウイルスで珍しい現象ではない

 2021年1月までに、新型コロナウイルスの30万もの変異株が同定されました。この変異の数は一見恐ろしいように見えますが、それは自然に発生するものであり、すべてのRNAウイルスでおこっています。新型コロナウイルスは、約1つの新しい変異を2週間ごとに発生しますが、大半の変異はウイルスにほとんど影響を与えず、これまでのほとんどの変異株はいつの間にか消えています。

 

ただし、専門家が懸念するいくつかの注目すべき変異があります。

 中国武漢で最初に検出されたウイルスは、世界のほとんどの地域で見られるものとは既に異なります。

(→スパイク蛋白質の614番目にあるアミノ酸が、アスパラギン酸(生化学的略記ではD)がグリシン(同G)に置き換えられたことから名付けられたD614G変異株)    

 この武漢での変異株D614Gは、2020年2月にヨーロッパで出現し、世界的に流行しているものとなりました。 この変異は、嗅覚皮により多く感染し、嗅覚喪失の症状が発生しやすくなります。

(→受容体結合ドメイン(RBD)のアンジオテンシン変換酵素II (ACE2受容体)へのより強い結合を起こす)

 もう1つの変異株はスペインで夏休み期間中に猛威をふるい、その後ヨーロッパ中に広がり、A222Vと呼ばれています。

 さらに、2020年秋には、英国(B.1.1.7)、南アフリカ(B.1.351)、ブラジル(P.1)という新しい変異株が登場しました。

 これらの変異株は、感染力が強くなる傾向が報告されており、警戒されています。

→スパイク蛋白質のRBD の変異を含む複数の変異を含んでいる。新型コロナウイルスは「スパイク蛋白質」を介してヒト細胞に入り込むことが明らかになっています。スパイク蛋白質がヒト細胞のACE 2受容体に結合すると、ウイルス膜がヒト細胞膜と融合し、ウイルスの遺伝子がヒト細胞内に入ります。ウイルスのRBDが変異することで、ウイルスとACE 2がより高く親和することになります)

 英国のB.1.1.7型変異は以前に流通していたウイルスよりも感染力が強く、感染率は50%~70%増加すると推定されるとの仮報告があります。

→新たに出現した3つの変異株のすべてに見出される変異N501Yは、ウイルスと細胞との間の結合親和性を増加させ、それにより、ウイルスをヒト細胞により強く結合させます。)

 

感染力が強い変異株はより重症化させるのか?

 ただし、感染力が強いからといって必ずしも危険だというわけではありません。現在のところ、英国変異株がより重い症状となることを示す証拠はありません。1月22日、英国ボリス・ジョンソン首相は、「英国の変異株はより致死率が高い可能性がある」と述べましたが、その後、英国政府は「B.1.1.7変異株の危険度は高くない」と当初の見解を修正しました。英国政府によると、「新型コロナの最初の株では1,000名の60歳代の男性のうち平均して10名が感染後に死亡しましたが、変異株では平均13~14名が感染後死亡しているという新たな証拠が示された。」とのこと。しかしながら、重症度に対する変異株の影響がなくても、それがより広がることにより医療が逼迫し、結果的に高い死亡率につながる可能性があります。

 

現行のワクチンは変異株に対しても有効?

 もう1つの懸念は、ワクチンと現在の治療薬が新しい変異株に対しても有効であるかどうかです。ファイザー社とモデルナ社は、実験室レベルのテストで、ワクチンは新しい変種に対しても有効であることが示されたと報告しています。リジェネロン社もまた、彼らの抗体カクテル療法は変異にもかかわらずウイルスを中和できると報告しています。

 さらに多くのエビデンスが必要ですが、専門家は「ワクチンと治療薬は今のところまだ有効である」と考えています。

 

変異株の流行をどう考えれば良いのか?

 変異株が発表されるたびにパニックを起こす必要はありません。

 新しい変異株ウイルスは、常に出現し、あるいは消失したり、拡大したりしています。

 結論として、これらの変異種に立ち向かう最善策とは、これまで通り警戒を続けることです。その新たな対策を考えるまでもなく、ウイルスの拡散を防ぐために誰もがこれまでにやってきたことを継続していくことが唯一、且つ最善の対策となるという見解が世界中で一致しています。

 引用文献:​

  1. U.S. Food and drug administration: https://www.fda.gov/

  2. World Health Organization: WHO https://www.who.int/

  3. Centers for Disease Control and Prevention: https://www.cdc.gov/

  4. GISAID: https://www.gisaid.org/

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