Vol.3  「新型コロナのワクチンを比べてみよう」

2021年2月3日 最終更新 Cellspect Co., Ltd

 2020年、全世界は新型コロナウイルス感染症により凄まじい被害を受けました。世界中の研究者たちは、これまでにない速さで、安全かつ効果的なワクチンの開発競争に乗り出しました。そして迎えた2021年、新型コロナウイルスのワクチンは徐々に実用化され始めており、人類はようやく普通の生活に戻るための攻勢に転じています。

 

 今号は、ワクチンについてとりあげます。

 2021年2月現在、さまざまな国でワクチンの緊急使用許可がなされました。ワクチンは、病原体の一部を人為的に身体にさらし、この病原体を予め身体に学習させることで、防御機構(免疫)を獲得、以後、実際の病原体に遭遇したときには、得られた免疫が機能することで、感染や重症化を回避させます。

 

世界で投与が始まった新型コロナワクチンは大きく3つのカテゴリーに分類できます。

 

1. RNAワクチン (ファイザー/ビオンテック社製およびモデルナ社製)

2. アデノウイルスワクチン (オックスフォード - アストラゼネカ製およびガマレヤ社製)

3. 不活化コロナウイルス (シノファーム社製)

 

現在主に世界中で使用されている新型コロナワクチンを以下に比較します。

RNAワクチン(ファイザー・ビオンテック社、モデルナ社)

 RNAワクチンにはmRNAという遺伝子物質が含まれており、体内に接種すると、細胞がmRNAの情報にそってタンパク質をつくり、これが免疫応答(異物を排除するための防御機構である“免疫”が作動すること)を起こさせます。

 RNAワクチンは比較的新しいタイプのワクチンです。これまでのワクチンと大きく異なるのは、ワクチンの材料を得やすく、且つ通常の実験室でも開発できる点です。RNAワクチンの利点は、安全性(生物自体から作られていないため、ワクチン自体がその病気を引き起こす危険性がないとされている)、信頼性、製造が比較的容易であることなどがあります。mRNAワクチンは、インフルエンザ、ジカ熱、狂犬病などについてこれまでに研究されています。しかし、mRNAは非常に壊れやすく、取り扱いを誤ると分解してしまうため、RNAワクチンの保存や長距離輸送は大きな課題となります。また、このタイプのワクチンが、これまで、人体で使うことを認可されたことがないことは事実です。期待と不安の両方の観点での議論が沸き起こっています。

 

アデノウイルスベクターワクチン(オックスフォード・アウトラゼネカ社)

 このワクチンは、新型コロナウイルスのタンパク質の設計図となるDNAを、ヒトに対して病原性の少ないアデノウイルベクター(運び手)に組み込み、これを投与することで、ヒトの細胞の中に侵入させ、この細胞の中で新型コロナウイルスの抗原タンパク質を合成させます。 合成された抗原に対して、人体は免疫を獲得する仕組みです。

 アデノウイルスベクターワクチンは、前述のmRNAワクチンが臨床試験される前に開発された技術です。アデノウイルスワクチンの最大の利点は、何十年もかけて育成、研究されてきた点にあります(エボラウイルスワクチンでの経験がある)。さらに、アデノウイルスワクチンの保管は、RNAワクチンよりもはるかに容易です。一方、過去にウイルスベクターに曝露したことがある場合、有効性が低下する懸念があることは特筆すべき点です。

 

不活化ウイルスワクチン(ガマレヤ社 Sputnik V)

 不活化ウイルスワクチンは、人工的に培養したウイルス粒子を、熱やホルムアルデヒドなどの方法で殺して、病気を発生させる能力をなくしたものです。これを投与し、免疫反応を刺激させます。不活化ウイルスワクチンの利点には、その技術が十分に確立されていること、免疫不全(免疫機能が低下している状態)の人にも適していること、製造が比較的容易であることなどがあります。(不活化ワクチンの例:ジフテリア・百日せき・破傷風・不活化ポリオワクチン四種混合ワクチン(DPT-IPV)、ジフテリア・百日せき・破傷風三種混合ワクチン(DPT)、ジフテリア・破傷風二種混合ワクチン(DT)、日本脳炎ワクチン、インフルエンザHAワクチン、ヒブワクチン(インフルエンザ桿菌b型ワクチン)、小児用13価肺炎球菌ワクチン、子宮頸がんワクチン、A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチン、不活化ポリオワクチン)

 

ワクチンに対する世界の見解

 米国食品医薬品局 (FDA) および欧州医薬品庁 (EMA) は、新型コロナワクチン承認に必要な有効性を50%以上と設定しています。現在、ほとんどの新型コロナワクチンはWHOの基準よりも高い効果を示しています。また、有効性以外に、安全性は最優先事項です。開発メーカーにより、注射部位の痛み、発熱、筋肉痛、疲労、頭痛などが副作用として報告されています。これらは、他の疾患のワクチンでも接種後によく発生する副作用です。これまでのところ、ワクチンの安全性に関する重大な懸念は報告されておらず、安全性データはFDAと専門家委員会によって継続的にモニターされています。

 

ワクチン接種の留意点とは?

 米国疾病予防管理センター(CDC)によると、現時点では、重度のアレルギー(アナフィラキシーなど)がある人はファイザー/ビオンテック社製ワクチンを接種すべきではないとされています。また、重症疾患を持つ人や虚弱な人も注意が必要とされています。新型コロナワクチン接種後の死亡例は稀に少数報告(強い因果関係はないとされている)されており、新ガイダンスによれば、「医師は、ワクチン接種者ごとに、接種の有益性が、潜在的な副作用リスクを上回ることができるかどうかをちゃんと評価した上で接種に臨むべきである」という見解です。

 引用文献:​

  1. Coronavirus Vaccine Tracker: The New York Times: https://www.nytimes.com/interactive/2020/science/coronavirus-vaccine-tracker.html

  2. U.S. Food and drug administration: https://www.fda.gov/

  3. World Health Organization: WHO https://www.who.int/

  4. Centers for Disease Control and Prevention: https://www.cdc.gov/

  5. COVID-19 vaccine – Wikipedia: https://ourworldindata.org/

  6. BBC News: https://www.bbc.com/news 

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