Vol.19  「危ない?インド変異株」

2021年6月11日 最終更新 セルスペクト(株)科学調査班編集

(注意:より専門的な内容については“(→ )”内に記載しました。こちらは、読み飛ばしてください。)

 

 新型コロナウイルスの変異株が、世界中で出現し、世論を騒がせている。この騒ぎから、世界保健機構(WHO)は5月、変異株の中でも、特に蔓延が懸念されるものを「VOC」と、それほど懸念は無いが、まずまず注視すべきものを「VOI」と、ランク付けした。

「VOC」は、高い感染力があり、重症化するリスクがある変異株。「VOI」は、多少の感染力はあるものの、従来のコロナの重症化率と差が見られない。つまり、重症化への明確な根拠がない変異株を示すことにした。

 5月中旬には、インド変異株 (SARS-CoV-2 B.1.617.2)を、「VOC」と発表。この変異株は、インドで初めて発見され、その後イギリスでも検出された。以後、この2国では、それまで蔓延していたイギリス変異株が消え去り、ほぼ全てが、この変異株と置き換わったことから、極めて感染力の高い変異株と判断された。

 

 こうした状況下でWHOは、現在流通しているワクチンが、十分に効かない可能性があると発表した。フランスのパスツール研究所も、「インド変異株に対しては、ファイザー社とアストラゼネカ社のワクチンの効力が低下する」と、公表している。イギリスの研究所「Francis Crick Institute」によると、ファイザー社のワクチンを接種した人は、インドの変異株に対する抗体が、5分の1以下になっている可能性が高いと示した。

 そんな中で、ロンドンのインペリアル・カレッジは、コロナウイルスの表面にあるトゲのような部分「スパイクタンパク質」の681番目のアミノ酸が、インド変異株では突然変異していると発表。この変異によって、ウイルスの感染力と複製性(増殖)が高まったとしている。

 インド変異株が発生する前のコロナウイルスは、病原性を高める3要素「感染性」「複製性」「毒性」のうち、感染性が際立っていた。しかし、インド変異株は、複製性も高いことが、上記の研究ではっきりした。これは、ワクチンや治療薬の開発の知見になりそうだ。

 日本でも最近、このインド株が確認されている。ワクチン接種が普及されつつあるが、この変異株の流入に注視したい。

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 引用文献:​

  1. WHO: Tracking SARS-CoV-2 variants: https://www.who.int/en/activities/tracking-SARS-CoV-2-variants/

  2. CDC: SARS-CoV-2 Variant Classifications and Definitions: https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/variants/variant-info.html#Consequence

  3. European Centre for Disease Prevention and Control: https://www.ecdc.europa.eu/en/covid-19/variants-concern

  4. Thomas P. Peacock et al. 2021 May 28 “The SARS-CoV-2 variants associated with infections in India, B.1.617, show enhanced spike cleavage by furin” bioRxiv.

  5. Emma C Wall et al. 2021 June 3 “Neutralising antibody activity against SARS-CoV-2 VOCs B.1.617.2 and B.1.351 by BNT162b2 vaccination” The Lancet.

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