日本でも、下水中の新型コロナウイルスを初検出:

下水試験はCOVID‐19の追跡に役立つか?

2020年6月26日最終更新 Cellspect Co., Ltd

 最近、相次いで、日本の2研究チームが、下水から新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を初検出したと報告した。[1,2] 富山県立大および金沢大の研究チームは、富山県1カ所および石川県3カ所、計4カ所の下水処理場で、3月5日〜4月24日の期間に、約1回/週で採取した処理前下水のPCR検査を実施し、家庭から排出される下水から新型コロナウイルスの検出に成功したと発表した。含まれるウイルス量を測定することで、感染状況の把握や、感染拡大第2波の兆候を早期に予測できる可能性があるとしている。また北海道大学と山梨大学などの研究グループは、下水中の新型コロナウイルスに関する論文を発表した。新型コロナウイルスの流行状況を把握する上で、下水中のウイルス調査データが活用できる可能性があるという。これら下水中のウイルス調査データは、感染拡大防止と社会経済活動の再開に向けた1つの判断材料として活用できることが期待される。

 

 世界的にも、感染者の糞便に含まれるウイルスが下水中で検出され、無症候感染者の糞便中にも検出されることが発表されつつある。3月19日発行のLancet Gastroenterology & Hepatology誌に掲載された研究で、研究者らは、この新型コロナウイルスが感染後3日以内に糞便中に出現する可能性があることを確認した。3日という時間は、重症化する時間よりもはるかに早い。[3] 別の研究では、糞便(22日)におけるSARS-CoV-2の存在期間の中央値は、呼吸器(18日; P = .002)および血清サンプル(16日; P <.001)よりも有意に長かった。[4] 病原体は最終的には下水処理施設に入るため、潜在的に、下水試験、または下水に基づく疫学調査 (WBE) は地域におけるCOVID‐19の発生率の実情を理解するために有効であり、 COVID‐19アウトブレイクの早期警告に有効であると期待される。

 

 WBEにおけるCOVID‐19の最も初期の報告はオランダのKWR水研究所からであった。彼らはアメルスフォールトの下水処理場で新型コロナウイルスのRNAを発見した。当時、この市では症例はまだ報告されていなかった。彼らは、個人毎の検査を行わずしても、100万人以上から集められた大規模な廃水を分析することで、新型コロナウイルスの広がりをより正確に推定できると考えている。その理由は、保健当局は発症患者や重傷者だけに焦点を当てているのに対し、下水検査では症状が軽いあるいは無い人も対象になるからである。下水中からのウイルスRNAの発見は、後に実際の症例として再確認されることとなった。彼らが新型コロナウイルスRNAを発見した後、この地域での最初の症例が正式公表されたのである。[5]

 

 世界で10以上の研究グループがこの方法を採用し、下水分析によりコミュニティー内の感染総数を推定し、病気がどのように、どこで蔓延しているかを追跡するのに役立てている。科学者らは、特に個別検査に困難を伴う場合においても、下水中のウイルスRNAを分析することで、苦労して全ての人のサンプリングを行うことなく、感染のリスクが最も高くロックダウンを必要としている集団を特定することができるかもしれない、と考えている。

 また、米国エール大学の研究者らは、2020年3月19日から5月1日にかけて、約20万人の下水を処理するコネチカット州ニューヘーブンの下水処理施設から下水汚泥を採取したところ、下水汚泥中の新型コロナウイルスのRNA濃度は、流行曲線および地域の医療機関への入院患者数とで高い相関があることを発表した。(下図) [6]

 上記から、下水試験が非常に簡単で、かつ強力なツールとして役立つことを示している。何十年もの間、下水モニタリングはウイルス追跡の武器となってきた。かつてポリオワクチン接種は下水モニタリングにより決定され、この方法は抗生物質耐性細菌および違法薬物の検出にも使用された。

 しかし、このウイルスのRNAが下水中に検出可能であることを証明することは重要な第一歩にすぎない。より大きな課題は、下水試料中のウイルスRNA濃度を地域社会における実際の症例数と相関させる方法である。研究者は糞便からどれだけのウイルスが排出されるかを知り、複雑な計算過程を経て、人体から排出されるウイルス量を推定する必要がある。さらなるデータが必要であるが、これらの知見は、新型コロナウイルスの追跡のために有望であることを示唆している。

 引用文献:

  1. Akihiko Hata et al, June 12, 2020 “Detection of SARS-CoV-2 in wastewater in Japan by multiple molecular assays-implication for wastewater-based epidemiology (WBE)”. medRxiv

  2. Eiji Haramoto et al., published online 2020 Jun 20. “First environmental surveillance for the presence of SARS-CoV-2 RNA in wastewater and river water in Japan”. Sci Total Environ. 2020 Oct 1; 737: 140405.

  3. Yongjian Wu et al, published Online March 19, 2020 “Prolonged presence of SARS-CoV-2 viral RNA in faecal samples” Lancet Gastroenterol Hepatol. 2020 May;5(5):434-435.

  4. Gertjan Medema et al, March 30, 2020 “Presence of SARS-Coronavirus-2 in sewage” medRxiv

  5. Jordan Peccia et al, May 22, 2020. “SARS-CoV-2 RNA concentrations in primary municipal sewage sludge as a leading indicator of COVID-19 outbreak dynamics” medRxiv

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