日本はなぜCOVID-19の最悪事態を回避できたのか?

2020年6月5日最終更新 Cellspect Co., Ltd

 “我が国では、緊急事態を宣言しても、罰則を伴う強制的な外出規制などを実施することはできない。それでも、そうした日本ならではのやり方で、わずか1か月半で、今回の流行をほぼ収束させることができました。正に、日本モデルの力を示したと思います。” 安倍晋三首相は5月25日夜の記者会見で非常事態宣言の解除を宣言した。

 

 地理的に中国に近いこと、1月には92万5千人、さらに2月には8万9千人の中国人観光客が訪れたこと、世界で最も高齢の人口が非常に密集していること、厳しい取り締まり政策が実施されていないことなどから、かつて日本はCOVID-19が大流行する可能性が最も高い地域と予想されていた。

COVID-19の世界的大流行に対する日本の対応は広く批判されてきたが、幸運なのか意図的であったのか、世界の他の地域で起きているような壊滅的な大流行は、日本ではみごとに免れている。

 

 その理由については、まだ不明な点が多いが、イェール大学の岩崎教授が発表した論文から非常に建設的な点が見いだせる。この研究で、以下の仮説と証拠を結論付けた。
 


1. 日本の文化は、本質的にソーシャルディスタンスを有しており、日本人の一般的なマスクの使用は、ウイルスの拡散を防ぐ

 一般的な日本の習慣として、挨拶の時に握手、抱擁やキスをしない。また、多くの日本人はインフルエンザや花粉症を防ぐため、冬から春にかけてマスクを着用する。これが妥当な仮説であるかどうかは、他のパンデミックウイルス性呼吸器疾患を見れば答えがみえてくる。

 日本の小学生の観察研究では、マスクの着用が季節性インフルエンザに対して有意に保護されることを見出した。[2] Lancet誌に掲載された最新研究においても、マスクの着用とソーシャルディスタンスの確保によりCOVID-19の感染率が85%減少したという説がある。 [3] WHOは、マスク着用に関する指針を変更することも検討中である。

 

2. より病原性の強いSARS-CoV-2株が広まる前に、集団免疫を付与する軽症型のSARS‐CoV‐2に日本人は曝露されていた

 より病原性の低いのSARS‐CoV‐2株が存在する明確な証拠はないが、ロスアラモス国立研究所の最近の研究は、 SARS‐CoV‐2の1つの特異変異である D 614 Gが、このウイルスの感染性をより強くすることを示唆した。D 614 Gは2月上旬から欧州で感染し始め、新たな地域に感染すると急速に支配型となった [4] 。これは、日本を含む他のアジアの国々(タイやシンガポールなど)には、初期の流行(1-2月)と、ヨーロッパとリンクした3月の流行との間に大きなギャップがある、という岩崎教授の発見と一致する[1]。

 

3. 日本で使用されているBCGワクチンは、 COVID‐19に対して予防効果がある
 岩崎教授は、中国、韓国、インドなど多くの国と同様に、日本においても、小児期のBCG接種が義務付けられていることを指摘した。これらの国は、COVID‐19による死亡率が、他の国々よりも比較的低い。さらに日本、ブラジル、ロシアで使用されているBCGワクチン株は原型株の1つであるのに対し、ヨーロッパ諸国ではさらに改変されたBCG株がワクチン接種に使用されていることが、日本の特徴である。この仮説は、藤田保健大学の宮川剛の最近の研究によっても支持されている [5] 。宮川教授の研究は、100万人あたりのコロナウイルスの症例数と死亡数が、国のBCG予防接種政策と有意に関連していることを明らかにした。宮川教授は「BCGワクチンは免疫系の一部を強化すると考えられる。」と話している。

 


 この仮説に加え、岩崎教授はCOVID-19とACE 2受容体あるいはHLA発現との関係についても言及した。これらの仮定に関する明確な証拠はないが、男性において、COVID-19感染のキーファクターとなる酵素を高レベルに有していることを示すいくつかの研究がある。[6] ゲノムワイド相関試験 (GWAS) も、 HLA (ヒト白血球抗原)が通常感染症、自己免疫または神経学的疾患と関係する最上位遺伝子座であることを示した。今後、これらの謎が解明され、COVID-19との戦法研究がさらに進むことを期待する

 引用文献:

  1. Akiko Iwasaki and Nathan D Grubaugh, May 8 2020, “Why Does Japan Have So Few Cases of COVID-19?” EMBO Mol Med;12(5):e12481.

  2. Uchida M et al, 2017 “Effectiveness of vaccination and wearing masks on seasonal influenza in Matsumoto City, Japan, in the 2014/2015 season: an observational study among all elementary schoolchildren.” Prev Med Rep 5: 86–91

  3. Derek K Chu et al., June 01, 2020, “Physical distancing, face masks, and eye protection to prevent person-to-person transmission of SARS-CoV-2 and COVID-19: a systematic review and meta-analysis”, The Lancet Journal, DOI:https://doi.org/10.1016/S0140-6736(20)31142-9

  4. B. Coper et al, April 30, 2020. “Spike mutation pipeline reveals the emergence of a more transmissible form of SARS-CoV-2” BioRxiv

  5. Giovanni Sala, Tsuyoshi Miyakawa et al, May 17 2020, “Association of BCG vaccination policy and tuberculosis burden with incidence and mortality of COVID-19” MedRxiv

  6. Iziah E Sama et al. May 2020 “Circulating plasma concentrations of angiotensin-converting enzyme 2 in men and women with heart failure and effects of renin–angiotensin–aldosterone inhibitors”, European Heart Journal, Volume 41, Issue 19, 14

当サイトの情報につきまして:

 細心の注意を払って現時点で最も正しいと考えられる情報をWebサイトに掲載しておりますが、その内容の正確性や安全性については保証するものではありません。 また、当Webサイトをご利用になったことにより生じるいかなる損害について一切責任を負いません。 当社は、予告なしに当Webサイトに掲載した情報を変更することがあります。また、Webサイトの運営を中断または中止することがあります。

セルスペクト 株式会社

020-0857

岩手県盛岡市北飯岡2-4-23

TEL: 019-681-6710 / FAX: 019-903-0418

MAIL:info@cellspect.com

URL: https://cellspect.com

【COVID-19関連 製品のお問い合わせ】

TEL: 03-5825-3557

MAIL: info@berthold-jp.com

※正規代理店ベルトールドジャパン株式会社 直通

【COVID-19関連 取材のお問い合わせ】

TEL: 019-134-6616

MAIL: support@cellspect.com

Copyright ©2018 cellspect All Rights Reserved. Wix.comで作成したホームページです。