変異する新型コロナウイルス:

強毒化と変異との関連はあるのか?

2020年5月29日最終更新 Cellspect Co., Ltd

 新型コロナウイルス (SARS-CoV-2) は、わずか数か月で世界 500 万人以上に感染した。[1]  ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン (UCL) の研究者らは、ウイルスがどのように変異しているかの手掛かりとなる、単発性ではない塩基配列の変異が、198 パターン生じていることを発見した。[2]

 

 変異の数は一見非常に多いが、SARS-CoV-2 の様な RNAウイルスでは一般的に生じる現象である。「ウイルスはそのライフサイクルの一部として自然に変異する」と、Covid-19 Genomics UK Consortium 科学プロジェクトマネージャー Ewan Harrison氏は言う。科学者が知りたいのは、これらの変異が、疾病の重症度や感染性にどう影響を与えるか、ということである。

 

 最初の SARS-CoV-2 株は、中国武漢で発見された。SARS-CoV-2 は人畜共通起源であると考えられており、コウモリのコロナウイルスと遺伝的類似性がある。しかし、中間的な感染動物からヒトに感染したと結論づける証拠はまだ見つかっていない。これまでに多くのサブタイプの SARS‐CoV‐2が同定されているが、その起源はまだ謎である。[3、4]

 

 現在の全世界ウイルスデータベースによると、異なるウイルス株にみられる反復変異は主に宿主RNAによって誘導され、編集されるが、変異株の中では ORF 8、ORF 1 a および ORF 9 の非同義変異率が最も高く、スパイクタンパク質を含む他の遺伝子は比較的変異していない。[5]

 

 ロスアラモス国立研究所による最近の研究では、Global Initiative on Sharing All Influenza Data (GISAID) と呼ばれるデータベースを用いて、感染拡大中の突然変異を追跡した。研究者らはこのような変異を14個発見し、特定の変異である D 614 G は感染性を高める可能性があり「緊急の懸念がある」ことを示唆した。[6]  それは、スパイクタンパク質の 614位に非サイレント(アスパラギン酸からグリシン)変異を有し、スパイクタンパク質の S1 – S2 接合近くに新たなセリンプロテアーゼ (エラスターゼ) 切断部位を形成する。[6]  D 614 Gは2月初めに欧州で広がり始め、新しい地域で感染が拡大すると、急速にその地域の主要なウイルス株となった。

 

 新型コロナウイルスは、「スパイクタンパク質」を介してヒト細胞に結合することが知られており、スパイクタンパク質がヒト細胞上の ACE 2 受容体に結合すると、ウイルス膜がヒト細胞膜と融合し、ウイルスのゲノムがヒト細胞に侵入する。[7、8]  SARS-CoV-2 と ACE 2 の親和性が高いのは、ウイルスの RBD (受容体結合ドメイン)変異が原因である。研究者達は、いくつかの遺伝子変異が SARS-CoV-2 のスパイクタンパク質をよりコンパクトな分子「峰」にし、SARS-CoV-2 がヒトACE 2 受容体により強く結合できるようになることを発見した。[9]

 

 遺伝学や生物学の専門家は、これらの変異が意味のあるものかどうかを知るのは、まだ「時期尚早」だという。英国ウォーウィック大学の分子腫瘍学教授である Lawrence Young 氏は「より攻撃的なウイルス株の出現の可能性に関する多くの憶測」と述べた。このウイルスにはまだ多くの謎がある。それは感染拡大しながら進化しており、その起源の謎を明らかにするとともに、これに対処する方法を見つけなければならない。

 引用文献:

  1. World Health Organization: WHO: www.who.int

  2. Lucyvan Dorp et al, 2020 “Emergence of genomic diversity and recurrent mutations in SARS-CoV-2”,Infection, Genetics and Evolution, 83, 104351

  3. Zhou P et al. February 2020. "A pneumonia outbreak associated with a new coronavirus of probable bat origin". Nature. 579 (7798): 270–273.

  4. Perlman S February 2020. "Another Decade, Another Coronavirus". The New England Journal of Medicine. 382 (8): 760–762.

  5. Lucy van Dorp et al, May 20, 2020 ” No evidence for increased transmissibility from recurrent mutations in SARS-CoV-2” BioRxiv

  6. B. Coper et al, April 30, 2020. “Spike mutation pipeline reveals the emergence of a more transmissible form of SARS-CoV-2” BioRxiv

  7. Markus Hoffmann et al, April 16, 2020 “SARS-CoV-2 Cell Entry Depends on ACE2 and TMPRSS2 and Is Blocked by a Clinically Proven Protease Inhibitor”, Cell, 181, 271–280

  8. Alexandra C.Walls et al, April 16 2020, “Structure, Function, and Antigenicity of the SARS-CoV-2 Spike Glycoprotein”, Cell, 181, 2, 281-292.e6

  9. Jian Shang et al, March 30 2020 “Structural basis of receptor recognition by SARS-CoV-2”, Nature volume 581, 221–224

当サイトの情報につきまして:

 細心の注意を払って現時点で最も正しいと考えられる情報をWebサイトに掲載しておりますが、その内容の正確性や安全性については保証するものではありません。 また、当Webサイトをご利用になったことにより生じるいかなる損害について一切責任を負いません。 当社は、予告なしに当Webサイトに掲載した情報を変更することがあります。また、Webサイトの運営を中断または中止することがあります。

セルスペクト 株式会社

020-0857

岩手県盛岡市北飯岡2-4-23

TEL: 019-681-6710 / FAX: 019-903-0418

MAIL:info@cellspect.com

URL: https://cellspect.com

【COVID-19関連 製品のお問い合わせ】

TEL: 03-5825-3557

MAIL: info@berthold-jp.com

※正規代理店ベルトールドジャパン株式会社 直通

【COVID-19関連 取材のお問い合わせ】

TEL: 019-134-6616

MAIL: support@cellspect.com

Copyright ©2018 cellspect All Rights Reserved. Wix.comで作成したホームページです。