プリチデプシンは、レムデシビルより

COVID-19治療に約30倍有効

2021年2月5日 最終更新 Cellspect Co., Ltd

 Science誌に掲載された新しい研究で、米国・フランス・スペインの研究者からなる大規模なチームが前臨床試験で、スペインの製薬会社PharmaMar社のプリチデプシン (アプリジン®) がレムデシビルの27.5倍もCOVID-19の治療に有効であることを発見した [1] 。

 コロナのパンデミックが拡大するにつれ、研究者は、FDAなどの機関により既に承認された治療薬に注目してきた。これは、新薬を開発し、前臨床試験、臨床試験と進めるよりも、既承認薬の適用範囲を拡大して使用する方がはるかに速く新薬が手に入るためである。レンデシビルは、同様に新型コロナ治療薬として見いだされたが、残念なことに、レムデシビルはパンデミックによる多くの継続的な死亡例が示すように、必ずしもどの症例にも有効性を示すわけではない。今回の新たな取り組みで、研究者らは、新型コロナウイルスの表面にあるタンパク質を攻撃することにより効果を発揮するレムデシビルなどの薬剤から、新たなものに焦点を移した。彼らは、ウイルスが生存するために必要なタンパク質がヒトタンパク質を産生することを阻害する働きのある薬物を探した。[2] 

 プリチデプシンは、スペインのイビサ島周辺の海域のみで見られるホヤの一種であるAplidium albicansに由来し、オーストラリアで多発性骨髄腫の抗がん剤として承認されている。今回の研究では、新型コロナウイルスに感染する直前にプリチデプシンを投与されたマウスでは、対照と比較してウイルス量と肺の炎症を有意に減少させた。プリチデプシンは、レムデシビルと同等のウイルス量減少を促したが、肺の炎症を和らげるのにも優れていたとチームは報告した。プリチデプシンは新型コロナウイルスのタンパクを阻害することを示すが、最も重要なのは、ウイルスタンパク質ではなく宿主タンパク質を標的とすることである。つまり、新型コロナウイルス新規変異株で懸念される突然変異を介した耐性構築をすることができなくなる。もともとはヒトタンパク質eEF1Aを標的とすることを意図しており、そのタンパク発現は癌を引き起こす細胞シグナル伝達につながる可能性がある。今回の新たな研究で、科学者たちは、感染時にコロナウイルスのヌクレオカプシド(N)タンパク質と相互作用するeEF1Aの阻害を通じ、プリチデプシンが実際にコロナウイルスに対して作用することを確認した。 [3]

 驚くべきことに、bioRxiv誌に掲載された別の論文で、研究者らは新型コロナウイルスのより感染性が高いB 117変異株に対してプリチデプシンを試験したところ、ヒトの消化管および肺の上皮細胞株の両方において、初期系列ウイルスおよび変異株ウイルスの両方に対して同様の抗ウイルス活性を示し、ヒトの上皮細胞においてレムデシビルよりも約100倍有効であった。[4]

 これらのデータとPharmaMar社の臨床試験の肯定的な結果は、プリチデプシンが広範囲の抗ウイルス感染症、特に承認薬の選択肢がない感染症の治療に有望であることを示唆している、と論文著者らは述べた。 ヒトでの臨床試験に関して、PharmaMar社は、すでにプリチデプシンの新型コロナウイルスに対するフェーズ1/2の肯定的データを持っている。 同社によれば、10月の臨床試験では、プリチデプシンが入院患者のウイルス量を大幅に減少させ、ウイルス量の減少と臨床的改善などの指標との間に顕著な相関関係が見られたとのことである。

 引用文献:​

  1. Kris M. White et al. 25 Jan 2021. “Plitidepsin has potent preclinical efficacy against SARS-CoV-2 by targeting the host protein eEF1A” Science.

  2. Bob Yirka. 29 Jan 2020. “Plitidepsin found to work better than remdesivir for treating COVID-19” Medical Press.

  3. Angus Liu. 27 Jan 2020. “Cancer drug derived from sea squirts outperforms remdesivir in COVID-19 preclinical models” Fierce Biotech Press.

  4. Ann-Kathrin Reuschl et al. 24 Jan 2021. “Host-directed therapies against early-lineage SARS-CoV-2 retain efficacy against B.1.1.7 variant” bioRxiv

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