統合失調症は、新型コロナによる死亡リスクが高い可能性

2021年1月29日 最終更新 Cellspect Co., Ltd

 JAMA Psychiatry誌に掲載された最新の研究によると、統合失調症は、高齢であることに次いで、新型コロナによる死亡の最も高い危険因子の1つである可能性があると報告された。 [1]

 今回の研究では、ニューヨーク市内の外来診療所260ヶ所と病院4ヶ所の診療記録を調査した。検査を受けた26,540人の成人患者のうち、7,348人が新型コロナ陽性であった。精神障害が報告されている患者を、統合失調症スペクトラム障害、気分障害または不安障害、および精神障害なしの3カテゴリーに分類した。研究によると、不安障害または気分障害と新型コロナによる死亡との関連を見出せなかった。しかし統合失調症の患者は、その障害を持たない患者よりも新型コロナで死亡する可能性が約2.7倍高いことを見出した。これは高齢であることに次ぐ2番目に高い危険因子である。この関連性は、喫煙、高血圧、心不全、心筋梗塞、糖尿病、慢性腎臓病、慢性閉塞性肺疾患、癌などの医学的危険因子を考慮した上でも有意であった。 [1]

 既往症として精神疾患のある人、特にうつ病や統合失調症の人は、新型コロナの原因ウイルスであるSARS-CoV-2に感染するリスクが高いことが以前の研究で明らかにされている。 [2] 今回の研究では、死亡率も精神疾患と密接に関連している可能性がある。

 著者らは、統合失調症か、その治療薬のどちらかに、死亡率が高くなる原因があるかもしれないと言う。おそらく疾患もしくは治療薬が免疫系を混乱させている。これまでの研究では、統合失調症の患者で免疫反応が変化し、感染症に対する体の免疫反応を制御する遺伝子の変異がみられることがわかっている。[1]

 精神科医の中には、統合失調症が免疫系とサイトカインとして知られる炎症誘発性シグナル分子を刺激することと関連していると推測する者もいる。一般的な新型コロナの死亡原因は、サイトカインストームとしても知られるサイトカインの過剰反応である。このような機序は統合失調症にも関与し、新型コロナに感染した統合失調症患者が致死的な経過をたどるパスウエイである可能性があるが、統合失調症患者数が少ないこと(n=75)、および患者の精神病治療薬に関するデータがないことから、この研究は限定的であった。[3]

 重度の感染症と精神病との関連が何十年にわたり報告されていることから、統合失調症患者の死亡リスクが高いのは新型コロナだけではないことが示唆されるが、不幸なことに、新型コロナと精神障害との関連はおそらく 「双方向性」 である。[4] 昨年11月に発表された論文によると、新型コロナからの回復者は精神疾患の後遺症リスクが高い。この研究では、研究者らは大規模な実データを用いて、62,354名の患者を対象に、COVID-19と診断された後の精神疾患診断の割合の増加と関連するかどうかを評価した。彼らの所見は、新型コロナからの回復者は精神疾患の診断を受ける率が有意に高く、精神疾患の病歴は既知の身体的危険因子とは無関係に新型コロナと診断される潜在的危険因子であることを示している。 [4]

 1月26日の時点で、公式に世界的に確認された新型コロナウイルスの症例は1億人を超え、死者数は200万人を超えている。日本で最初の症例が確認された12カ月前には、ほとんど想像できないレベルの数字である。新型コロナ患者を積極的に治療することに加え、メンタルヘルスを追跡し、後遺症に対する治療を継続的に行う方法もまた、将来の最も重要な課題である

 引用文献:​

  1. Katlyn Nemani et al. 27 Jan 2021. “Association of Psychiatric Disorders With Mortality Among Patients With COVID-19” JAMA Psychiatry.

  2. QuanQiu Wang et al. 7 Oct 2020. “Increased risk of COVID‐19 infection and mortality in people with mental disorders: analysis from electronic health records in the United States” Would Psychiatry.

  3. Yasemin Saplakoglu. 27 Jan 2021. “Schizophrenia is 2nd highest risk factor for dying of COVID-19, after age” Live Science News

  4. Maxime Taquet et al. 9 Nov 2020. “Bidirectional associations between COVID-19 and psychiatric disorder: retrospective cohort studies of 62 354 COVID-19 cases in the USA” The Lancet Psychiatry.

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