新薬となる可能性があるCOVID-19抗体の特徴

2020年10月16日 最終更新 Cellspect Co., Ltd

 カリフォルニア工科大学 (Caltech) が主導する新しい研究で、COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2に対する多数の抗体の特徴が明らかになり、ウイルス中和に最も効果的な抗体が同定された。この研究はNature誌に発表され、強力な抗体をCOVID-19の治療または予防として投与できることを示唆している[1] 。

 「理想的な治療法は、異なった効果的方法でウイルスを攻撃する種々の抗体を組み合わせて「カクテル」とすることである。異なる抗体が組み合わさると、ウイルスがそれらを逃れるために進化する可能性は低くなる」と、本研究主任研究者Barnes氏は言う。

SARS-CoV-2がヒト細胞に結合する標的は、アンジオテンシン変換酵素2 (ACE 2) 受容体と呼ばれる。この細胞表面受容体は通常血圧を調節する機能をもっているが、SARS-CoV-2は肺などの臓器細胞に侵入する手段としてこの受容体を利用する。ウイルスの受容体結合ドメインは引っ掛けるフックとして働き、ACE 2受容体をつかむ。ウイルスが細胞に付着すると、ウイルスは細胞膜と融合して細胞に侵入し、感染した細胞を、ウイルスを増殖させる工場に変えてしまう。したがって、受容体結合部分をブロックしたり、異なる機構を用いて融合を阻止したりできる抗体は、ウイルスの細胞への侵入を阻止するのに非常に有効であろう。

 Barnes氏らの研究チームは、抗体がスパイクRBD (受容体結合ドメイン)の開放型(RBD 「アップ」)と閉鎖型(RBD 「ダウン」)の両方の立体配座においてどのように相互作用するかを解明することを目指した。以前Cell誌に発表された論文で、彼らはCOVID-19から回復した人々からモノクローナル抗体を収集し、タンパク質を1原子分解能でイメージングすることにより、様々な抗体がSARS-CoV-2スパイクタンパク質に結合する位置を正確につきとめた。[3]

 彼らの最新の論文では、ロックフェラー大学のMichel Nussenzweig教授の研究室と共同で、SARS-CoV-2に対するヒト中和抗体 (hNAb) がスパイクタンパク質のRBDをブロックしてウイルスが細胞に侵入するのを防ぐ仕組みを示す4つのカテゴリーから8つの新しい構造を解明した。4つの構造カテゴリは次の通り:

  1. ACE 2をブロックし、 「アップ」 RBDにのみ結合する短いCDRH 3を含むVH 3-53 hNAb

  2. 「アップ」 および 「ダウン」 の両方のRBDに結合し、隣接するRBDと接触することができる、ACE 2阻害hNAb

  3. ACE 2部位の外側に結合し、 「アップ」 および 「ダウン」 RBDを認識するhNAb

  4. ACE 2をブロックせず、RBDのみに結合する前述の抗体[1、4]

 

 これらの構造解析から、研究チームは、「アップ」 「ダウン」または両方のRBDコンフォーメーションに結合するか、それらの結合がACE 2結合部位と重複するかどうか、その効力や特定の抗体遺伝子ファミリーからの派生など、その他の基準に基づき、抗RBD抗体の4つのクラスを提案し、これらの構造から、ウイルス中和のための異なるメカニズムを提案した。これらの抗体の構造を知ることにより、 RBDにより強く結合する抗体の設計が容易になり、その結果、 抗体の有効性が高まり、治療に必要な用量を下げることができる。最終的に、これらの抗体が結合する場所のマッピングは、最も強力な中和抗体クラスを誘発するためのワクチンの構造設計に必要な情報でもある。

 また、Barnes氏は「本研究は、回復したCOVID‐19患者から得られた中和抗体に関する将来の研究の基礎を提供する。現在、ロックフェラー大学のチームと協力し、同じドナーから分離された抗体の時間的変化の特徴づけに取り組んでいる。この研究が、将来長期間のSARS‐CoV‐2感染防止策を提示することに役立つことを期待する。」と言う。

 引用文献:​

  1. Christopher O. Barnes et al., Otc 12, 2020. “SARS-CoV-2 neutralizing antibody structures inform therapeutic strategies” Nature.

  2. Lori Dajose, July 08, 2020. “Antibody cocktail to prevent and treat COVID-19 enters late-stage trials” Caltech news

  3. Christopher O Barnes et al., Aug 20, 2020. “Structures of Human Antibodies Bound to SARS-CoV-2 Spike Reveal Common Epitopes and Recurrent Features of Antibodies” Cell. 182(4):828-842

  4. Meng Yuan et al. May 08, 2020 “A highly conserved cryptic epitope in the receptor binding domains of SARS-CoV-2 and SARS-CoV” Science. 368:6491, pp. 630-633

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