コロナウイルス蔓延阻止の「ゲームチェンジャー」が

見つかった?

2020年9月25日最終更新 Cellspect Co., Ltd

 SARS-CoV-2 スパイクタンパク質 (Sタンパク質)のポケットが、コロナウイルスのヒトの細胞への感染を防ぐ薬として利用できるかもしれないことを、ブリストル大学を中心とする国際科学者チームが発見した。[1] 研究者らは、Science誌に発表した研究結果が、現在の世界的流行を打ち破る可能性のある「ゲームチェンジャー 」であり、ポケットを標的として開発された低分子抗ウイルス薬はCOVID-19の排除に役立つ可能性があると述べている。

 

 ブリストル大学生化学部 Christiane Schaffitzel 教授とマックスプランク-ブリストル極小生物学センター Imre Berger 教授をチーム長とするこの画期的な研究では、強力なイメージング技術であるクライオ電子顕微鏡 (cryo-EM) を用いて、SARS-CoV-2 のスパイクを原子分解能レベルで分析した。研究者らは、SARS-CoV-2 の表面は、ウイルスの感染性に不可欠な役割を果たす、数多くの糖修飾Sタンパク質で覆われていると述べている。Sタンパク質はヒトの細胞表面に結合し、ウイルスが細胞に侵入して複製を開始することで、広範囲のダメージを引き起こす。Oracle 社高性能クラウドコンピューティングにより、SARS CoV-2 S タンパク質の3D構造モデルが作成されたことで、研究者はスパイクの内部を深く見ることができ、その分子組成を特定することができた。[2、3]

 

 驚いたことに、研究チームの分析により、Sタンパク質内に低分子のリノール酸 (LA)が埋め込まれている「テーラーメイドポケット」の存在が明らかになった。LAは多くの細胞機能に不可欠な遊離脂肪酸である。人間は体内でLAを産生できないため、この必須分子を食物から吸収している。興味深いことに、 COVID-19 の病状進行の重要な要素である、炎症と免疫調節においても、LAは重要な役割を果たしている。肺の細胞膜維持により、呼吸できるようにするためにも、LAは必要である。[2、3]

 

 筆頭研究者の一人である Imre Berger 教授は「LAという分子は COVID-19 の患者の体内で異常な結果をもたらす機能の中心にある。我々のデータによると、この混乱を引き起こしているウイルスは、まさにこの分子をつかんで保持しており、基本的に体内防御機能の多くを解除している。」と述べ、他の筆頭研究者である Christiane Schaffitzel 教授は「LA代謝経路への不適切な処置は、全身性炎症、急性呼吸窮迫症候群 (ARDS) および肺炎を誘発することが、他の疾患から知られている。これらの病態はいずれも重症 COVID-19 患者に認められ、最近の SARS-CoV-2 を持つ患者の研究では、血清LA値の顕著な低下が示された。」 と説明した。[2、3]

 

 研究者らによると、感冒の原因となるライノウイルスでは、同様のポケットが利用され、ポケットに強く結合する強力な小分子が開発され、ライノウイルスの構造をゆがめることにより、感染性が阻害されたという。これらの小分子はヒト試験で抗ウイルス薬として成功裏に使用され、ライノウイルスの臨床治療に有望であることが示された。[2、3]     

 

 結論として、 SARS-CoV-2 スパイク (S) 糖蛋白質の2.85Åのクライオ電顕構造は、受容体結合ドメイン (RBD) が3つの複合体結合ポケットにおいて必須遊離脂肪酸 (FFA) リノール酸 (LA) に強く結合することを明らかにした。このポケットは高病原性コロナウイルスのSARS-CoV および MERS-CoV にも存在するようである。LA結合はロックされたSタンパク質立体配座を安定化し、in vitro でのACE 2相互作用の減少を引き起こす。この構造はLAとSタンパク質を直接連結し、 SARS-CoV-2 によるLA結合を標的とする介入戦略のためのステージを作った。従って、 LA結合ポケットは、例えば、 Sタンパク質を閉じた立体配座に不可逆的にロックし、受容体相互作用を妨害する低分子阻害剤の将来の開発のための有望な標的となる。[1、4]  この発見は、 LA、COVID-19 の病理学的兆候とウイルス自体との間の最初の直接的リンクを提供し、この新しい発見を応用技術に成功裏に展開することができれば、 COVID-19 感染拡大を食い止めるのに非常に有望である。

 引用文献:​

  1. Christine Toelzer et al. Sep 21, 2020. “Free fatty acid binding pocket in the locked structure of SARS-CoV-2 spike protein” Science. DOI: 10.1126/science.abd3255

  2. Victoria Rees. Sep 22, 2020. “Researchers discover druggable pocket on SARS-CoV-2 Spike protein” Drug Target Review.

  3. Sep 21, 2020. “Discovery of a druggable pocket in the SARS-CoV-2 Spike protein could stop virus in its tracks” University of Bristol press release.

  4. Sep 22, 2020. “COVID-19 Research: University Of Bristol Led Study Discovers Free Fatty Acid Binding Pocket In SARS-CoV-2 Spike Protein That Could Halt Virus In Its Tracks” Medical News press release.

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