新型コロナウイルス抗体の残存期間は?  

免疫記憶はあるのか?

2020年7月17日最終更新 Cellspect Co., Ltd

 COVID-19(新型コロナウイルス感染症)に関連しまだ判明していない大きな疑問の1つは、感染後の免疫持続時間に関するものである。はしかやA型肝炎など感染症のいくつかは、感染は一度限りのことである。一度感染して回復すれば、一生免疫が継続する。しかし、COVID-19の場合はそう簡単ではなさそうである。COVID-19の免疫に関しては、抗体ができた人も、その抗体を長期間維持できない可能性があるという、残念な状況が、次第に研究者間で共有されるようになってきている。  

 

 Nature Medicine誌6月号に掲載された研究では、無症状の感染者37名と発症した患者37名の免疫反応が比較された。両群とも最初は比較的類似した免疫反応を示したが、2-3か月後には、両群の90%以上がCOVID-19特異的IgG抗体の有意な低下がみられた。両群の大多数は、ウイルスが細胞に侵入するのを阻止する抗体 (中和抗体) も減少した。IgGおよび中和抗体は、無症候性の感染者でより低下しており、約40%がIgGに対して血清陰性となり、これらのレベルが検出限界以下に低下した(症状のある感染者群の場合は12%が血清陰性であった)。[1]  

 

 7月6日にスペインで人口ベースの血清疫学的研究が行われ、この国の人口のわずか5%しかCOVID-19に対する抗体を持たず、一部の患者では抗体は3~5週間しか継続しないことが示された。この結果はLancet誌に掲載されたものであり、この知見は、COVID-19に対する、いわゆる集団免疫が「達成不可能」であることを示唆している。 [2]

 さらに7月11日には、King's College Londonの研究者らによる予備試験でCOVID-19が確認された96人の患者を繰り返し検査したところ、ウイルスと闘う抗体のレベルが症状の出現から約3週間後にピークに達し、その後急速に低下したことがわかった。患者の60%は 「効力のある」 抗体を産出したが、3カ月の試験期間の終わりに同レベルの抗体効力を継続していたのはわずか17%であった。COVID-19 の重症例では抗体価は高く持続期間も長いが、軽症例では3カ月後には抗体を検出することができなかった。この研究結果はmedRxiv誌の前刷りに掲載されている、即ち査読はまだ実施されていない。[3]  

 

 これらの研究は、他のコロナウイルスと同様に、COVID-19が繰り返し人に再感染する可能性を想起させる。もしそうであれば一回限りのワクチンでも、ウイルスのコミュニティへの拡散でも、時間がたてば防御抗体が弱まるので、「集団免疫」は決して実現されないだろう。しかし、パニックになる必要はない。なぜならば、抗体がCOVID-19を撃退する唯一の方法ではないからである。  

 

 抗体は免疫の重要な構成要素であり、特にウイルスを構成するタンパク質を標的としてウイルスを「中和」するものである。抗体は標的にとりついて、ウイルスが細胞に感染するのを防ぐ。しかしながら、抗体レベルは免疫機能評価の一部にすぎない。抗体が検出限界を超えて減少しても、完全に消失するわけではない。そして、非常に低い抗体レベルであっても、保護することは可能である。重要なのは、ウイルスにさらされたとき、どれだけ早く抗体を増やすことができるかということである。これには多くの細胞群が関与し、過去に遭遇した新規病原体を細胞が記憶している。ウイルス特異的抗体の産生を促すB細胞と、感染した細胞を破壊する能力をもつキラーT細胞がある。ヘルパーT細胞はこの過程全体を統合して助ける。いわゆる免疫記憶で、再感染時の症状を軽減、あるいは発症を予防することが知られている。  

 

 最近の研究では、あるウイルスタンパク質に対する抗体が検出可能なレベルを下回っても、ウイルスを中和し、ウイルスのスパイクタンパク質を標的として再感染を防ぐのに必要な第二の抗体のセットはまだ存在していた。[4]  Nature誌に掲載された別の論文では、抗体が低レベルであってもウイルスを阻止できる可能性が示唆されている。「ある種の抗体は低レベルであっても強力な中和能をもつようである。抗体価が低いからといって、必ずしも患者が再感染するとは限らない」とコロンビア大学ウイルス学者のラスムセン博士は述べた。[5]  

 

 COVID-19については、より多くの患者群で同様の結果が得られるかどうか、またウイルス感染に関してどのようなデータが長期間にわたって示されるかを明らかにするために、さらなる研究が必要である。科学者たちはまだこのウイルスと格闘しており、唯一確かなことは、感染時に自然に発生する免疫はほとんどの人にとって最適ではなく、寿命も短いため、強力なワクチンが依然として緊急に必要とされていることである。

 引用文献:

  1.  Quan-Xin Long et al. June 18, 2020. “Clinical and immunological assessment of asymptomatic SARS-CoV-2 infections”

       Nature Medicine. DOI: 10.1038/s41591-020-0965-6

  2.  Marina Pollán et al. July 06, 2020 “Prevalence of SARS-CoV-2 in Spain (ENE-COVID): a nationwide, population-based

       seroepidemiological study” The Lancet . DOI: 10.1016/S0140-6736(20)31483-5

  3.  Jeffrey Seow et al. July 11, 2020 “Longitudinal evaluation and decline of antibody responses in SARS-CoV-2 infection”

       medRxiv.

  4.  Apoorva Mandavilli, June 18, 2020 “You May Have Antibodies After Coronavirus Infection. But Not for Long.” The New

       York Times press.

  5.  Davide F. Robbiani et al. June 18, 2020. “Convergent antibody responses to SARS- CoV-2 in convalescent individuals”

       Nature. DOI:10.1038/s41586-020-2456-9

 

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